医薬品のオーバードーズ(以下OD)とは決められた量を超えて、過剰にお薬を飲むことです。今回は市販薬のODについてお話ししたいと思います。
近年、市販薬のODは深刻な社会問題となっています。身近で手に入る市販薬は、多くの人にとってとても便利な存在ですが、時に健康被害や依存症のリスクを抱えているのです。市販薬のODの要因として市販薬に対する誤解や過信が考えられます。「市販薬は病院でもらう薬よりも効果がマイルド」というイメージから自分の判断で勝手に量を変えて服用してしまうことがあります。また、精神的な要因も存在します。ストレスや不安から解放されたいという思いから、市販薬を安易に使ってしまうことがあるのです。
ODによる危険性は急性中毒です。薬の過剰摂取は肝臓や腎臓に過剰な負担がかかります。最悪の場合は肝不全や腎不全に至ることもあるのです。そして精神的な影響もあります。市販薬の中には、多量に摂取することで意識の混濁や判断力の低下が生じるものがあります。また依存性のある薬もあります。決められた量を超えて使っていると、次第に繰り返しその薬品を使いたくなり今までと同じ量では満足できず、どんどん使う量が増えてしまうのです。
このような問題から市販薬に対する規制が強化されています。5月に法律が改正され、過剰摂取のリスクがある成分を含む薬の販売を今までより厳しく制限することが決まりました。薬局等で販売する際に、他の薬局等での購入の状況、氏名・年齢等の確認をすることに加えて若年者への大容量、複数個の販売が禁止されます。お薬は適正に使用していただくことで、皆さんの健康を守ってくれます。しかし、ひとつ使い方を間違えると「クスリ」は「リスク」となってしまいます。
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それではお大事に