輔仁薬局

健康処方箋 column

「夏バテ」

author:ほじん薬局 佐伯店 薬剤師 紀 雅之
published in:大分合同新聞令和3年8月掲載  No.148

暑い日が続きますが、皆様夏バテしていないでしょうか?

夏バテを「暑いからしかたない」と片付けてしまいがちですが、今回はそんな夏バテの原因と対策を紹介したいと思います。

まず1つ目の原因は、食欲の低下による栄養不足や水分不足です。暑くなると消化管の働きが弱くなり、食欲がなくなってきてしまいます。また暑いからと冷たい飲み物を飲めば、さらに消化管の働きを弱めさらなる食欲の低下を招きます。1日に必要な水分の約半分が食事からの摂取なので、食事量の低下も水分不足につながってしまいます。

対策としては、熱中症などの緊急時は冷たい飲み物が必要ですが、普段の水分摂取は、常温のものを飲むなどの工夫をしましょう。また、暑いと食事も食べやすい麺類等が中心となり、タンパクやビタミンが不足しがちとなるため、それらも意識して摂取するようにしましょう。食事だけで難しい場合は、市販のビタミン剤や栄養剤を使うのも1つの手段です。おくすりの飲み合わせもあるので、薬剤師に相談してみるのも良いでしょう。

2つ目の原因は、温度差による自律神経の乱れです。エアコンの効いた部屋と外との気温との差が激しいと、自律神経が乱れてしまいます。また、気温差がなくても、冷房の効き過ぎた部屋に長くいた場合も同様に起こります。

対策としては、エアコンの設定温度を高めに設定する。それが難しい場合は上着などで体温の調節ができる工夫をしましょう。また、運動や入浴でも自律神経のバランスを整えることができます。適度な運動は汗をかくことで、体温調節機能が改善します。入浴は湯船に浸かることで自律神経のバランスを整えることができます。ただし、熱いお湯は逆にバランスが崩れるので、ぬるめのお湯にゆっくり浸かってください。どちらも水分補給は忘れずに。

夏バテの主な症状は、食欲の低下や体のだるさです。早めに対策を取って暑い夏を乗り切っていきましょう。ただし、症状が重い、長く続くときなどは、夏バテではない別の疾患の可能性もあります。その場合には無理をせず、医療機関を受診しましょう。

それではお大事に。

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