輔仁薬局

健康処方箋 column

輔仁薬局健康処方せん【 妊娠と薬 】

【 妊娠と薬 】

author:けやき通り薬局 薬剤師 栗林 恭兵
published in:大分合同新聞令和2年6月掲載  No.141

 「妊娠していると思わなかったから薬を飲んでしまった!」「病院を受診して妊娠中と伝えたが薬を処方された。本当に飲んでも大丈夫?」と不安になったことはありませんか?新型コロナウイルス治療薬の候補である「アビガン」が、妊娠中そして妊娠を希望する場合には使用できないと報道されて、やはり妊娠中は薬を使わない方が良いと思われた方もいるのではないでしょうか。確かに妊娠中の薬の服用に関しては慎重にしたいものです。しかし全ての薬が赤ちゃんに影響を及ぼすわけではありません。むやみに薬を恐れて自己判断で薬を避け、つらい症状をがまんすることが、かえって赤ちゃんに悪影響を及ぼすリスクになることもあります。正しい知識を持って、必要な薬はきちんと服用することが大切です。

 それでは、正しい知識を得るにはどうすれば良いのでしょうか。現在はインターネットで検索をすれば多くの情報を得ることができます。但し間違った情報もありますし、妊娠中の服薬に関しては、疾患、妊娠週数、代替医薬品の有無等によって個々に判断する必要があるので、正しい情報でも一般の方では判断が難しいものもあります。前述の「アビガン」に関しても、服用すれば生涯妊娠が出来ないと勘違いしている方もいるようです。治療終了後一定期間(7日間以上)経過すれば、妊娠は可能とされています。

 間違った対応をしない為にも受診時は必ず医師に「妊娠中」、「妊娠する可能性のあること」を伝えてください。そうすれば赤ちゃんへの影響を及ぼさないよう一人一人に最適と考えられる治療法を選択して説明もしてくれるはずです。またダブルチェックのために薬局でも薬剤師に伝えるようにしてください。一般用医薬品等を購入する場合も同様にお願いします。

 赤ちゃんを迎えるための準備は、薬に関すること以外にもあります。禁煙・禁酒をする、栄養バランスのよい食事をとるなど、健康な体作りを心がけましょう。
それでは、お大事に。

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