輔仁薬局

健康処方箋 column

輔仁薬局健康処方せん水とスポーツドリンクと経口補水液

水とスポーツドリンクと経口補水液

author:ほじん薬局佐伯店 薬剤師 紀 雅之
published in:大分合同新聞平成30年12月掲載  No.132

・どれを飲めばいい?
 日常的な脱水予防には、水(白湯)などの飲料を意識して摂ることが大切です。嘔吐や下痢、大量に汗をかいたときなどは、水分と共に電解質(ナトリウム、カリウムなど)も排出されてしまうので、電解質や糖分を含むスポーツドリンクが適しています。しかし、脱水症になった場合には、水分吸収速度が速い(スポーツドリンクに比べナトリウム量が多く糖分が少ない)経口補水液が適しています。

・脱水時はなぜ電解質が必要?
 水だけを大量に飲んだ場合一時的に体液量が増えますが、体が体液濃度を一定に保とうとするため、水分のみを排出します。その為、水分と電解質を失ったときは、脱水状態から回復できなくなってしまいます。

・経口補水液の注意点
 経口補水液は、速やかに水分を吸収するためにナトリウム、カリウム、糖分を多く含んでいます。そのため飲み過ぎないように注意が必要です。学童〜成人(高齢者を含む)は、500〜1000ml/日、幼児は、300〜600ml/日、乳児は、体重1kg当たり30〜50ml/日と摂取目安量があります。また、高血圧や腎臓病、糖尿病などの疾患で、ナトリウム・カリウム等の電解質の摂取制限、食事制限をされている方は、通常よりも少なく飲むなどの注意が必要な場合があります。
経口補水液は、健康なときにはしょっぱく感じても、脱水状態時などのときは飲みやすく感じることがあるそうです。自分の体の状態を知る一つの目安になるかもしれません。

・冬の脱水って?
 冬は、外気の乾燥による不感蒸泄(普段感じることのない水分の喪失。呼気に含まれる水分や皮膚や粘膜から蒸発する水分。)が増え、水分の摂取量が減少します。ゆっくりと水分を失っていく場合、のどが渇くなどの症状が出にくいため、注意が必要です。また、一日に必要水分量の約半分は、食事から摂っています。そのため食事が十分に食べられなくなると、摂取する水分量も少なくなり脱水状態に陥りやすくなります。食事量が減ってきたら、栄養状態だけでなく脱水状態にも注意してください。

状態にあった上手な水分摂取で脱水症を予防していきましょう。
それではお大事に。

一覧に戻る