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健康処方箋 column

輔仁薬局健康処方せん糖尿病について

糖尿病について

author:こがづる調剤薬局 薬剤師  松永 康臣
published in:大分合同新聞平成28年2月掲載  No.115

現代では珍しい病気では無くなった糖尿病についてお話しをします。
 糖尿病は「血液中のブドウ糖の濃度が高い状態が続く病気」「さまざまな臓器に合併症をおこす病気」と言われています。ではなぜブドウ糖の濃度が高い状態が続くと良くないのでしょうか?いくつか理由はありますが、その一つに梅酒を作る時に起こる現象が血管の中でも起こるからです。梅酒を作る時、青梅と砂糖を入れて数日置くと青梅がシワシワになります。このシワシワになる現象は、青梅の周りにある沢山の砂糖が引き起こしているのです。つまり、血管の中でブドウ糖の濃度が高い状態(沢山のブドウ糖がある状態)が続くと、血管がシワシワになりダメージを受けてしまいます。短期間で受けたダメージは回復しますが、長い間続けて蓄積していくと血管が劣化し厚くなり、また破れやすくなります。この劣化は大きな血管より小さな血管である「毛細血管」に出やすい傾向があります。

 なぜ血管が劣化すると、さまざまな臓器に合併症を引き起こしやすくなるのでしょうか。それは臓器が「毛細血管」の集合体だからです。腎臓などの臓器は多くの毛細血管が走っています。毛細血管が劣化すると臓器の隅々まで栄養が送れず細胞が障害を受けて臓器機能の低下を引き起こしてしまいます。これが臓器に合併症を引き起こすメカニズムの一つです。

 「毛細血管」があるのは臓器だけではありません。眼の中の網膜と呼ばれる場所や、手や足の末端なども毛細血管が多く走っています。これらの場所でもブドウ糖が高い状態が続くと血管が劣化して末端まで血液が送れなくなり、眼が見えなくなるなど、末端が壊死してしまうのです。

 糖尿病は初期症状がなく、放置すると怖い病気です。しかし、生活習慣を改善したり、お薬を飲んだりして適切に血糖値をコントロールすれば怖い病気ではありません。現在は、注射薬以外にも副作用の少ない飲み薬がありますので、治療が必要と言われた時は放置せず必ず治療を受けましょう。

それではお大事に。

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