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健康処方箋 column

輔仁薬局健康処方せん歯周病にかかわる病気

歯周病にかかわる病気

author:輔仁薬局 日赤前店 薬剤師 後藤 順子
published in:大分合同新聞平成24年4月掲載  No.92

歯ぐきから血が出る、腫れている、ぐらついている、などといった症状はありませんか。こういった症状があると、それは歯周病かもしれません。歯の周りに付着した歯垢(プラーク)が歯と歯ぐきの隙間に入り込んで、歯や歯ぐきを支えている骨を溶かしてしまう病気が歯周病です。歯周組織に炎症がおこると、まず出血や膿が出るといった症状がみられます。さらに炎症が進むと、歯周組織が破壊されて歯がぐらつくようになってしまいます。近年、歯周病菌が全身のさまざまな病気に影響していることがわかってきました。増殖した歯周病菌は、炎症を引き起こす物質を生み出し、それが、血管の中に入り込んで全身の器官に拡がっていきます。歯周病は口の中だけの病気ではないのです。

歯周病はいったいどんな病気に関わっているのでしょう。よく知られている疾患は次の通りです。

・動脈硬化などの血管系の病気 歯周病菌が血液中に入ると血管を狭める作用を促したり、血液を固まりやすくしたりすると考えられています。

・糖尿病 血糖の高い状態は、歯周組織に炎症を起こしやすくするだけでなく、歯周病の進行も早めてしまいます。

・心臓病 心臓の弁膜や内膜に発症する「細菌性内膜炎」のほとんどは口腔内の細菌が原因です。

・肺炎などの呼吸器系の病気 高齢者など、ものを飲み込む嚥下反射が低下すると誤って気管の中にものが入り、歯周病菌といっしょに肺へ達し、肺炎を起こすことがあります(誤嚥性肺炎)。

・早産、低体重児出産 歯周病菌が羊水に入って胎児の成長に影響を与えたり、子宮の収縮を促したりして早産や低体重児出産のリスクを高めます。

口の中の病気がこのような思いもよらぬ病気の原因となってしまいます。歯周病は重症化してしまうと簡単には治らないので、かからないようにしっかり予防することがだいじです。それがこれらの病気を防ぐことにもつながります。口の中と全身の健康の維持のためには、正しい歯磨きや定期的な歯科でのメンテナンスだけでなく、ストレス、食習慣、運動不足、睡眠不足、喫煙といった生活習慣を改善することも大切なケアのひとつです。

それでは、お大事に。

 

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