輔仁薬局

健康処方箋 column

虫よけ剤

author:こがづる調剤薬局 薬剤師 堤 喜代明
published in:大分合同新聞平成21年7月掲載  No.69

夏になると、肌の露出面が広くなり、蚊やブヨなどの害虫による虫刺されに悩まされることが多くなってきます。

虫刺されの予防には虫よけ剤を使いますが、その成分として最も一般的なものはジエチルトルアミド(ディート)で、蚊、ブヨ、ダニ、ノミ、サシバエ、ツツガムシなどに効果があります。ディートは、人の呼吸や皮膚から出ている二酸化炭素を感じて寄ってくる害虫の触覚に作用して、害虫が二酸化炭素を感じなくなります。その結果、害虫は人を吸血対象と判断できなくなるため、虫よけ効果を示します。

ディートは、米国等でまれに皮膚炎や吸入による神経障害が起きたという報告があり、厚生労働省からディートを含む医薬品や医薬部外品の安全対策として、漫然と使用せず必要時のみ使用することとか、小児(12歳未満)の顔への使用禁止や使用回数の制限などが出されています。使う前に使用法や注意事項をよく確認しましょう。

他に、超音波で蚊を寄せ付けない器具や、ハーブやアロマオイルなどの天然成分を使ったものもありますが、ディートに比べると一般に効果は弱く、持続時間も短いようです。天然成分といっても、小児に使用制限があるものもあり、やはり使いすぎには注意が必要です。

虫よけ剤にはスプレー、ジェル、シートタイプなどがありますが、これらを首筋、腕、足など皮膚の露出したところや衣服表面(生地が傷まない場合)に塗布します。塗りむらがあると効果が落ちるので、まんべんなく塗り広げて下さい。

スプレータイプでは、鼻や目に入ると刺激を与えるので、顔に塗る場合は手に取ってから塗るようにしましょう。小児の場合は吸いこんでしまう恐れがあるので、大人がいったん自分の手に取ってから塗ってあげましょう。

虫よけ剤は、漫然と使い続けるようなものではありません。必要に応じて適切なものを選び、必要な間だけ使用するようにしましょう。

それではお大事に。

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