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輔仁薬局健康処方せん腰部脊柱管狭窄症

腰部脊柱管狭窄症

author:輔仁薬局 日赤前店 薬剤師 後藤 順子
published in:大分合同新聞平成21年6月掲載  No.68

腰部脊柱管狭窄症(ようぶ・せきちゅうかん・きょうさくしょう)というとなにやら難しい病名で、初めて耳にする方が多いのではないでしょうか。有名なタレント司会者がこの病気の手術をしたことで話題になりました。一般には、高齢者に圧倒的に多い病気のひとつです。

背骨の中にある筒状の部分を脊柱管といいます。この中を神経と血管が通っていて、神経はこの血管の血液によって酸素と栄養を供給されています。脊柱管が何らかの理由で狭くなると神経と血管が圧迫され、十分な血液が神経に送られなくなり、腰痛や脚のしびれなどのさまざまな症状が出てきます。

歩き始めはどうもないのに、しばらく歩くと脚がしびれたり、重くなったり、痛くて歩くことができなくなります。腰かけたりしゃがんだりして少し休むとまた歩けるようになりますが、これを間欠跛行(かんけつはこう)といい、この病気の代表的な症状です。立つことで脊柱管がいっそう狭くなり、神経を圧迫するために起こるもので、体が前かがみになると脊柱管がやや広がって神経の圧迫が一時的に解除されて、症状が緩和するのです。

原因としては、生まれつき脊柱管が狭い、すべり症や椎間板ヘルニアによるもの、腰痛の手術によるもの、加齢による病気や変性などがあります。ひどくなると、麻痺や排尿障害などを生じることもあります。

日常生活の工夫で痛みを軽減することができます。それは、神経を圧迫するような動作や姿勢を避けることです。背中をそらせる姿勢は脊柱管をより狭くして神経を圧迫してしまうので注意してください。腰をひねる、重いものを持ち上げるなどの動作もよくありません。脊柱管を少し広くするには、手押し車やカート、杖を使ったり、自転車に乗ったりと、前かがみの姿勢をとるようにするのが効果的です。

治療には、血流をよくする薬や痛み止めの内服、神経ブロック注射、理学療法などがあります。場合によっては、手術をすることもあります。

この病気の典型的な症状である間欠跛行がみられる場合は、放置せず、早めに専門医を受診しましょう。

それでは、お大事に。

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