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健康処方箋 column

輔仁薬局健康処方せんCOPD(慢性閉塞性肺疾患)について

COPD(慢性閉塞性肺疾患)について

author:こがづる調剤薬局 薬剤師 堤 喜代明
published in:大分合同新聞平成17年11月掲載  No.25

COPDとは、肺や気管支に障害が起こり、ゆっくりと呼吸機能が低下していく病気で、肺気腫と慢性気管支炎をまとめた呼び名です。

タバコやその他の有害なガスを吸い込み続けると、肺に慢性的な炎症が起こります。これが続くと空気の通り道である気管支が狭くなったり、肺の中で酸素と二酸化炭素の交換を行う役割を持つ「肺胞(はいほう)」が壊れてしまいます。一度壊れた肺胞は元に戻ることはありません。

このような肺の構造の壊れ方はゴム風船に例えられることがあります。何回も膨らませた風船のように弾性がなくなって、肺が縮まなくなるのが肺気腫で、風船の空気の抜ける部分が狭くなって、空気がなかなか抜けないのが慢性気管支炎です。こうした状態を適切な治療を受けずに放置すると、呼吸不全や心不全、重い肺炎を起こして死に至ることもあります。

COPDは初期症状を見逃さないことが大切です。慢性的に続く咳や痰、少し動いただけで息切れをするなどといった症状が最初に起こります。進行すると慢性の呼吸不全のため、酸素ボンベなしでは生活が困難となりますので、悪化しないよう、早めに受診し、適切な治療を受けるようにしましょう。治療は、気管支拡張薬やステロイド薬、鎮咳・去痰薬などが用いられ、日常の活動を楽に行えるようコントロールしていきます。

COPDは、別名「タバコ病」とも言われており、患者の90%程度が喫煙者です。1日に何箱のタバコを、何年間吸い続けたかをかけあわせた「パック・イヤー」の数値が大きいほど早くCOPDを発症しやすいので、なるべく早く禁煙をすることが最も大切です。禁煙がなかなかうまくできないという方は、医師、薬剤師にご相談下さい。

それでは、お大事に。

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