輔仁薬局

健康処方箋 column

輔仁薬局健康処方せんこれからの季節の食中毒

これからの季節の食中毒

author:ほじん薬局 片島店 薬剤師 藤原 拓司
published in:大分合同新聞平成27年8月掲載  No.112

食中毒=夏のイメージをお持ちでありませんか?意外に食中毒の発生件数は夏を過ぎた秋口が一番多いのです。原因として、夏バテにより体力が落ち免疫力が低下している時に、気温差の影響で体調を崩している事があげられますが、行楽シーズンよりバーベキューや運動会など屋外で食事をする事も影響します。

食中毒の原因として多いのはウイルスや細菌による感染性のものですが、特にこの時期はカンピロバクターやサルモネラ、腸炎ビブリオなどの細菌による感染が多くあります。潜伏期間は腸炎ビブリオなど短いもので10時間~20時間、カンピロバクターなど長いもので1日~7日間など様々です。

カンピロバクターは生肉(特に鶏肉)、サルモネラは鶏卵や生乳、腸炎ビブリオは魚介類などを口にすることで感染しますので調理の際はしっかりと食材の中心部が75度以上となるようにして1分以上は加熱殺菌しましょう。また感染者の糞便や吐瀉物(としゃぶつ)などからも感染するため処理する際は直接触れることのないよう手袋やマスクを装着し、処理後は手洗い消毒を徹底しましょう。

感染症状としては嘔吐、下痢が主ですが、その他発熱や腹痛が現れる事もあります。嘔吐や下痢を繰り返すことで、腸内で増殖した細菌やウイルスは体外に排出され次第に症状も緩和されていきます。その為自己判断で下痢止めや吐き気止めを服用すると細菌やウイルスが腸内に長く停滞するため、症状が長引く恐れがあるのでお勧めできません。食中毒かな?と思われたら、まずは脱水症状を起こさない様に電解質や糖質がバランスよく配合された経口補水液などで水分補給をし、吐き気や嘔吐がある場合は吐いたものが喉に詰まるのを防ぐ為横向きに寝て体を休ませることが大切です。ただし下痢が1日10回以上も続く、血便が出ている、激しい嘔吐や呼吸困難、意識障害等重い症状がある場合は医療機関を受診してください。   

それではお大事に。

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