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健康処方箋 column

輔仁薬局健康処方せんカビによる肺炎に注意

カビによる肺炎に注意

author:みさと薬局太平町店 薬剤師 白坂崇雄
published in:大分合同新聞令和4年6月掲載  No.153

梅雨や夏の時期になると、毎年咳や微熱等の症状が出るという方はいませんか。それは、カビが原因かもしれません。カビは既知のものでも10万種以上あると言われ、どこにでも生息しています。また梅雨の時期は湿度や温度等がカビの生息に好条件なため、あっという間に通常の10~100倍の量に増殖することは珍しくありません。

カビを吸い込んだときの病気では、西日本に多く見られるトリコスポロンというカビに対する夏型過敏性肺炎があります。これはアレルギー疾患なので軽症であれば抗原(カビ)を除去すれば改善します。しかし重症化するとステロイド治療が必要となります。

また肺に炎症を起こし重い症状を引き起こす感染症で肺真菌症があります。代表的なものにアスペルギルス症があり、これは健康であれば自己免疫で排除できるのですが肺の機能が低下している人は感染しやすいと言われています。(日和見感染)アスペルギルス症などのカビによる肺炎には抗真菌薬が有効で、適切な治療を行うことで症状は改善しますが、コロナ禍の今、コロナ以外の病気にならないように予防する事も大切ではないでしょうか。

カビによる肺などの病気にならないための対策としては、コロナ感染対策でも行っている室内のこまめな掃除と換気、免疫維持のための規則正しい生活に加えて、水回りの掃除と十分な乾燥、そしてエアコンの管理等です。エアコン内のカビの発生予防のために、送風機能を使用してエアコン内を乾燥させたり、フィルターの清掃をしたりしましょう。室内のカビを完全にゼロにすることはできないので、神経質になる必要はありませんが、なるべく生活している空間を清潔にするよう心掛けましょう。

咳が長く続くなどおかしいと思ったら、発熱が無くても早めに医療機関を受診しましょう。
それではお大事に

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