輔仁薬局

健康処方箋 column

輔仁薬局健康処方せん「認知症」と薬

「認知症」と薬

author:ほじん薬局大在店 薬剤師 白井 ヨシ子
published in:大分合同新聞令和5年6月掲載  No.159

患者様より、「認知症にお薬があったんですか?」と言われることがあります。認知症の薬は1999年にアルツハイマー型認知症の治療薬として「ドネペジル」が登場して以来大きな進化を遂げています。早期発見・早期治療により認知症の症状を遅らせることが可能となっています。今回は認知症の薬について紹介したいと思います。

実はアルツハイマー型認知症は、発症の20年程前から脳の病変が始まっていると言われています。そのため現在の認知症治療薬は進行を抑える薬ということもあり、早い段階から服用すると効果が高いと言われています。

現在アルツハイマー型認知症の進行を抑える薬は、先に書いたドネペジル以外にも「リバスチグミン」「ガランタミン」、「メマンチン」があります。錠剤、口の中で溶ける錠剤、貼り薬等の剤型がありますので、服薬が心配な方も選択肢が広がっています。またドネペジルは、レビー小体型認知症の進行を抑える場合にも使用されます。

認知症の進行を抑える薬以外にも、認知症の周辺症状(BPSD)である行動症状(徘徊・暴言など)、心理症状(うつ・不安・妄想など)に対する治療薬があります。抗精神病薬や抗うつ薬や漢方薬の「抑肝散」等様々な薬があります。また現在承認申請中で今後どうなるかは不明ですが、新しいタイプの認知症治療薬も開発されています。

このように、認知症には数多くの治療薬があります。しかし一方で、認知機能の低下のおそれがあるために注意すべき医薬品があります。代表的な薬として、睡眠導入剤や抗不安薬等の向精神薬です。高齢者の脳は薬に対して敏感です。また薬の代謝・排泄に関わる機能が低くなっているため体内に薬が留まりやすくなっています。そのため定期的な薬の評価が必要になります。「認知症かな?」と気になる症状があれば、まずは、かかりつけ医の先生、専門医の先生を受診してください。

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